CleanUp

備忘録と豆の知識

チルノと昼寝をした

いい天気だ。暇さえあれば外に駆り出して、心地いい太陽のしたで草原をベッドにずーっと寝てみたい、なんてことを考える。きっと、とても自由を満喫できると思う。

というわけで、今日は少し遠出をした。草原のある広い公園だ。電車に揺られ、降り立てば風靡く自然そのものだった。

 

「ふう、さて・・・と。」

 

荷物を横に置き、どしっと腰を下ろす。少し硬いような、ふかふかしているような、そんな感じの感触だった。まだ青い色をした風が僕の頬を撫でる。目を瞑れば、目の前に空が浮かぶようだ。

 

「なにしてるの?」

 

ぱち、と目を開ける。あたりを見渡してみると、青いスカート。チルノちゃんだった。

 

「やあ、奇遇だね。でもどうしてこんなところに?」

 

「しーらない。ぼーっと空飛んでたら風に流されてここまできちゃった。」

 

彼女らしいといえば彼女らしい。自由気ままな感じに憧れる。

 

「もうすぐ昼だね。うどんでも食べないかい?」

 

「うどん?食べる!あたい、冷やしうどんね!」

 

近くにあるうどん屋さんに足を運ぶ。僕はうどんげ定食、チルノちゃんは冷やしうどん。

 

「ごちそうさまでした。」

 

「ごちそーさま!」

 

また元の場所に戻ってきた。僕は寝転がり、うとうととして暖かな気分に身を任せる。

 

「寝るのかー?じゃああたいも寝る!」

 

そんな声が聞こえて、僕はゆっくりと眠りについた。

 

・・・

 

起きてみると、2時間も経っていた。隣でスースーと寝息が聞こえる。

 

チルノちゃん、そろそろ帰ろう。」

 

「んー、・・・。」

 

まだ少し眠いようで、仕方がないのでおんぶして帰った。電車の中でもすやすやと眠っていて、ホームへ降りるときにやっと目が覚めたようだった。

 

「なんかつかれたー。」

 

「眠り疲れたんだろうね。」

 

そんな会話をたまーにしながら、いつもの公園にやってきた。太陽はもう赤く染まり、カラスがかあかあと鳴いていた。

 

「じゃあ、チルノちゃん。またね。」

 

「ばいばーい。」

 

いつもより心地いい気分で過ごせた気がする。

こんな日常が、たまらなく好きだと思った。

 

 

 

 

 

Pen-Pineapple-Apple-Pen - PPAP 考察

I have a pen. I have a apple.

Apple-Pen.

I have a pen. I have a pineapple.

Pineapple-Pen.

Apple-Pen... Pineapple-Pen...

Pen-Pineapple-Apple-Pen

 

ご覧の通り とてもシンプルで、とても短い。

 

ピコ太郎という人物がリズミカルな音楽に合わせて、踊りながらペンとリンゴを持ち出す。彼はリンゴに唐突にペンを刺す。その結果として「リンゴに刺さったペン」ではなく「ペンが刺さったリンゴ」でもなく、その物体は唐突にApple-Penと化した。彼は視聴者にそれを強調するかのように見せつけ、ひとまずそれを横に置いておく。

同様に、彼は踊りながらペンとパイナップルを持ちだす。そして同じように、パイナップルに対してペンを突き刺す。その結果として、それは突然にPineapple-Penと化した。再び視聴者に見せびらかす。そしてひとまず横に置いておく。(もしくは持ったまま手を後ろに下げる。)

そして、Apple-PenとPineapple-Penを両手に持ち、しっかりと向き合わせ、勢いよく水平にぶつけあう。するとPen-Pineapple-Apple-Penが完成し、ピコ太郎がオリジナルのダンスを披露するというのがPPAPの大まかな流れである。

 

偶然の継承による必然

はじめ、ピコ太郎はペンを右手で持っていた。「I have a pen.」そして、青森県産のリンゴを左手で持った。「I have an apple.」トラックに合わせて即興で作詞をしていたが、歌詞が浮かばなかったため、やむなく突き刺した。Apple-Penが完成した。

つぎに、ピコ太郎はペンを左手で持った。何故かといえば、ペンを持つと同時にApple-Penを横に置いておく必要があったからだ。故に、ピコ太郎は右手でApple-Penを置きつつ左手で同時にペンを持った。「I have a pen.」そして、空いた右手で手近にあったパイナップルの缶詰を持つ。「I have a pineapple.」ピコ太郎は迷うことなくパイナップルの缶詰にペンを突き刺した。「Pineapple-Pen」何故か。歌詞を考える必要がなかったからだ。

最初のApple-Penを作る流れをAとして、Pineapple-Penを作る流れをBとする。Aはピコ太郎が歌詞が思い浮かばなかった結果の苦肉の策、突き刺すという行為で場を持たせ、その行為は「これでApple-Penですよ」というニュアンスの「Apple-Pen」で締め括られる。Aの流れというものは偶然の産物である。しかし、AからBの流れへ移行する場合、それは偶然ではなく、必然としてAの流れを継承する形となる。それがいわゆる「繰り返し」に重きを置く「リズムネタ」の基本的な部分であるからだ。ここで作ったPineapple-Penを左手で横に置く所作も忘れてはならない。

纏めると、偶然、たまたま手に持っていたペンを、偶然そこにあったリンゴに突き刺す。そして必然的にペンを手に取り、偶然そこにあったパイナップルに"必然的に"突き刺す。フルーツを扱うというPPAPならではの面白味を加えて、PPAPは偶然を必然へと昇華させているのだ。

 

ペンであるということ、ピコ太郎の考える直線の向き

PPAPのAとBの流れにおいて、フルーツとペンを突き刺して融合させているが、名称は「〇〇ペン」であり、ペンであることがわかる。これは生成物を横に置いておく際の所作でも確認が可能で、手に持っている部分はフルーツの部分ではなくペンの部分である。また、最終的に生成されるPen-Pineapple-Apple-Penも、あくまでもペンであるということが名称から判断できる。

しかし、ここで疑問。Pen-Pineapple-Apple-Penを分解すると「Pen-Pineapple」と「Apple-Pen」になるのだ。これでは「パイナップルに刺さったペン」ではなく「ペンが刺さったパイナップル」になってしまうのだ。これはおかしい。

そこでピコ太郎がどのような方法で名称を決めているのか考えてみると、なるほど。「直線の向きの法則」があったのだ。ピコ太郎ははじめ、左手のリンゴ(後)から右手のペン(前)にかけてを「Apple-Pen」とした。つぎに、右手のパイナップル(後)から左手のペン(前)にかけてを「Pineapple-Pen」とした。これから推察されることは「ピコ太郎は後に出したものから読み上げる」ということである。そして「右向きに読み、左向きに読んだ」ということをリズムネタ的に捉えれば、次は「右向きに読むだろう」と考えられることがわかる。ピコ太郎にとって、融合したものはあくまでもペンであり、その名称はリズムネタの形式をとって「右」「左」「右」「左」...と交互にしなければならない。

ピコ太郎は最終段階として右手でApple-Penを出し、左手でPineapple-Penを出す。もちろんペンであるので、持っている部分はペンの部分である。であるから、フルーツ部分同士を突き刺す形となる。Apple-Penは左へ向けて横に倒し、Pineapple-Penは右へ向けて横に倒す。そして突き刺す。そして右へ向けて部位の名前を読んでみる。

Pen-Pineapple-Apple-Pen

確認のため、再度読む。

Pen-Pineapple-Apple-Pen

ピコ太郎はしゃべくり007に出演した際に「同一線上に並んだものをPen-Pineapple-Apple-Pen」と定義しており、PPAPでは「直線」が最も重要な構成要素だったのだ。つまり、Pen-Pineapple-Apple-Penを分解して考えるということをすればPPAPが成り立たなくなるのは当然。数学にもやってはいけないことがあるように、PPAPにおいても単語レベルでの分解はタブーだったのだ。あくまでもPen-Pineapple-Apple-PenはPen-Pineapple-Apple-Penというペンである。それだけである。

 

特筆すべきシンプルさ

PPAPは誰が見てもシンプルである。リズムネタにおいてフレーズを繰り返すことは多く見られるが、PPAPももれなくそれを踏襲している。「I have a ~」といった、「わたしは ~ を持っている」というシンプルなフレーズからスタートし、再度同じフレーズを繰り返す。そしてキーとなるフレーズ「Apple-Pen」を繰り出す。そしてまた「I have a ~」と繰り返し、同様に「Pineapple-Pen」というキーフレーズを繰り出す。とてもシンプルで分かりやすい繰り返しである。「I have a」では首句反復という技法が使われており、ここでは強調というより記憶に残るといったほうがいいだろうか。印象付けるための工夫が施されている。脳内にフレーズが残るのは、反復法により単純なフレーズが(単純だからこそ)むしろ色濃く記憶に残ってしまうためだと考えられる。

リズムネタにおいて、リズムのいい言葉とは必須の構成要素である。リズムネタを見ていれば分かるのだが「心地のいい言葉」というものがあることがわかる。いわゆる「押韻」や「破裂音」であり、PPAPでは終盤にかけて心地のいい言葉がどんどん増えていく。ここでペンパイナッポーアッポーペンの子音を書き表してみる。

「Pen-Painapo-Apo-Pen」「PeNPaiNaPoaPoPeN」→「PNPNPPPN」

PPAPは「ぱぺぽ」をふんだんに使用した破裂音のオンパレードだ。口ずさんでみるとなんと心地のいいことか。ペンパイナッポーアッポーペン。いい響きだ。そして最も心地いい部分「ナッポーアッポー」の部分を切り出して口に出してみる。ここは押韻の様相を表しており、とてもリズムのいい部分となっている。

曲の締め括り(サビ)として使われているその部分で出てくる単語は3つのみ。「Pen」と「Pineapple」と「Apple」のみである。Penは隔語句反復を用いて最初と最後に置き、Pineappleで間髪入れずに破裂音を置き、Appleで韻を踏み、Penで締め括る。単純でありながら、PineappleとApple以外では成り立たなかった、偶然による必然こそ、このPPAPのシンプルで不思議なリズムを生み出したのではないだろうか。

 

「ありえない」が「ありえる」ことの妙味

考えればわかることだが、リンゴにペンを刺したからってリンゴペンになるわけではない。リンゴにペンを刺してリンゴペンなんてものを作ろうとすら思わないだろう。それが常識であり、私たちは常に、世界とはそういった常識の上で成り立っているものだと思い込んでしまっている。誰もリンゴペンなんて作らない。そんな世界だ。しかし、ピコ太郎は別の世界に住んでいた。ピコ太郎にとって、リンゴにペンを刺すことに躊躇いなどない。そして、それをアッポーペンと呼ぶのは造作もない、考えるに難しくないことだった。我々にとってはありえない行動が、ピコ太郎にとってはありえる行動だったのだ。

人は、ありえないものに対して笑いを受けやすい。想定外のものをユニークと呼び、誤植やハプニングを笑う。PPAPにおいてもそれは同じで、誰もAppleにPenを突き刺すとは思わなかっただろう。はじめは「え!?」となって驚くかもしれない。「ぷっ」と鼻から息が漏れるかもしれない。ともかく、ピコ太郎は予想もしないことを画面越しに始めた。「AppleにPenを突き刺しました。これはApple-Penです。」と聞こえた気がした。いやいや、違うだろう。それはただAppleにPenが刺さっただけだ。というツッコミを脳内でするが、そんな僕の反応をよそにピコ太郎は淡々とそれを続ける。ピコ太郎は新たなペンを持ち、それを手近のパイナップルに突き刺した。ならばこれはPineapple-Penだろう。そう想像するに難しくない。「PineappleにPenを突き刺しました。これはPineapple-Penです。」ほらな、やっぱりそうだ。それはPineapple-Penなのだ。ここで安堵する。すると、ピコ太郎がまた何かを持ち出した。そう、それは先ほどのApple-PenとPineapple-Penだ。これをどうするというのだ。まったく検討もつかない。どうやってPPAPに繋げるというのだ。そう考えていると、ピコ太郎がおもむろにペン部分を持ちながらフルーツ同士をおもいきりぶつけた。

Pen-Pineapple-Apple-Pen

「おいおい、それはないだろうピコ。まさか、そんなことがまかり通るのかい?」と、僕はピコ太郎のやったことが一切合切理解できなかった。しかし、それは想定の遥か上をいく発想で、それをピコ太郎はやってのけた。そして気がつく。それは今までと同じパターン。PenとAppleをぶつけたらApple-Penになって、PenとPineappleをぶつけたらPineapple-Penになった。それと同じだ。Apple-PenとPineapple-PenをぶつけたらPen-Pineapple-Apple-Penになるのは当然。そういうもんだと理解する。それは、今まで我々が「ありえない」もしくは想定もしなかったようなことがピコ太郎の手によってユニークに「ありえる」ものとして提示されたのだ。それと同時に、我々は気がついた。それがどうしようもなくしょうもないことに。僕は笑うしかなかった。こんなことにも気づけなかったのか、と。不思議と心が満たされたような満腹感を感じつつ、この妙味にしばし浸っていた。

 

 

 まとめ

深夜に文章は書くものじゃないな、と思った。もう寝たほうがいいような気がする

最後のほうはよくわかんないけど、そろそろ締めたかったのでこんなものでいいだろうと思いつつ書いたような気がする

個人的にPPAPは上記のように捉えてましたよってことを伝えたかったのかもしれないし、PPAPってこう考えるとなんだか楽しいよっていうのも伝えたかった気がする

見た通り感じた通りに捉えればいいとも思うし、ピコ太郎のセンスがぼくはほしい

 

あ、AppleからApple-Pencilっていうのが出てますよ 

 

 

 

 

 

チルノが看病してくれた

本当にまいった。風邪をひいてしまった。毎年のことだが、今年はやけに早かった。これで予定がいくらか潰れてしまうのだが、仕方がないことだと思って諦めて眠る。

すると、ドンドン、ガララと、窓を叩く音に次いで窓を開く音が聞こえた。

 

「やっほーあそぼ!」

 

チルノちゃんだった。どうやら遊びに来たようだ。

 

「やあ、チルノちゃん。」

 

「なにしてるの?もうお昼だよ?」

 

「実は風邪をひいてしまってね。今日は一日、ずっと寝ていないとだめなんだ。」

 

「ちぇー、つまんないのー。」

 

口をとんがらせて怪訝な顔をする。少し申しわけない気がした。

 

「風邪をひいたら大変だよ。僕の近くだとチルノちゃんに伝染ってしまうかもしれないから、今日は一緒に遊べないんだ。ごめんね。」

 

チルノちゃんまで風邪をひいたら大変だ。これも彼女のためだと思って、今日は帰ってもらうように暗に促す。

 

「大変なの?あたい、ごはん作ってあげよっか!」

 

「・・・作れるの?」

 

作れるかどうかというより、火の扱いや道具の使い方を心配してしまう。なにしろ、相手は小学生と変わらないような少女なのだから。

 

「もっちろん!あたいってばさいきょーだからね!」

 

最強。強火ということだろうか。心配だ。

 

チルノちゃん、どんな料理を作ってくれるんだい?」

 

「おにぎり!砂糖と塩、どっちがいい?」

 

よかった。火を扱うわけじゃないのか。やけどでもしたら大変だ。

 

「おにぎりは塩がいいかな。お米は昨日の残りが冷蔵庫に入ってるから、それを使っていいよ。」

 

「わかった!」

 

それにしても、おにぎりなんて久しぶりに食べるな、と思った。最近食べたのはいつだったっけ。2ヶ月前に実家に帰ったときか。

 

「なー、つめたいおにぎりでもいいー?」

 

「電子レンジがあるから、それを使ってあたためてほしいな」

 

「そっかー」

 

そんなやりとりを何度か繰り返していたら、どうやらおにぎりができたようだ。

 

「はい!できたよ!」

 

「ありがとう。おお、かなり大きいね。」

 

冷蔵庫に入っているぶんのお米をすべて使ったようだった。ほかほかと湯気が出て、綺麗な形をしたそのおにぎりは、なんだか食べるのがもったいないように思えた。

 

「たべてみて!」

 

興味しんしんといった感じの顔で見つめてくる。

大きくて手では持てなさそうなので、箸でちょいと摘んで、食べてみる。・・・おいしい。塩気が普通より強い気もするが、僕的にはこのくらいのほうがちょうどいい感じで好きな味だ。

 

「おいしいよ、ありがとう。」

 

「やった!」

 

無邪気な笑顔。その顔を見ていると、なんだか幸せになる。箸は進んで、あっという間におにぎりはなくなった。

 

「これなら風邪も早めに治りそうだ。治ったらまた一緒に遊ぼう。それより、チルノちゃんに風邪が感染ったら大変だから、今日はもう帰るといいよ。」

 

「うん、わかった!でもあたい風邪ひかないよ!」

 

「ははは。確かに、元気な子供は風邪をひかないものさ。」

 

「違うよ!あたい氷の妖精だから、そーゆーのへっちゃらなんだ!」

 

氷の妖精。なるほど。確かに、氷の妖精が風邪をひくなんておかしな話はないよな、と思った。

 

「じゃ、今日はありがとう。」

 

「うん、ばいばい!」

 

元気に羽をぱたつかせて外へ向かって勢い良く飛び出した。

 

ごん。

 

「あぎゃっ!」

 

窓に盛大にぶつかる。そのままふらふらと空へ飛んでいった。

 

・・・バカは風邪をひかない。なんていったら失礼か。はは。

もう薬を飲んで寝ることにしよう。

 

今日はなんだか、いい夢が見られそうだ。

 

 

 

 

チルノが勉強を始めた

公園に散歩をしにいく。この公園にはほぼ毎日通っている。特になにをするでもないのだが、晴れの日は木漏れ日がまぶしく、静かで快適なベンチが僕の特等席だ。

しかし、今日は先客がいた。あの羽はチルノちゃんの羽だと遠目に見てもすぐにわかった。

 

「やあー、なにをしてるんだい?」

 

「あっ、今日も会ったなー!さんすうやってるんだけど・・・よくわかんない・・・。」

 

算数。そうか、チルノちゃんは見た感じ小学生。人間の小学生が勉強しているのに興味をそそられても不思議じゃない。

 

「どこがわからないんだい?」

 

「あのね、紅魔館からバスがでて、3人のるのね。」

 

「うん。」

 

紅魔館?

 

「そしてね、白玉楼で1人おりて、半人だけのるのね。

 

「うん?」

 

は、白玉楼・・・?

 

「さいごに、八雲さんちで2人おりるんだけど、残りはなんにん?って問題なんだー・・・。」

 

八雲さんち・・・どこだ・・・。

 

「うーん、3 + 1 - 1 - 2 で1人だけ残るんじゃないかな?」

 

" 半人 " なるものを1人としてカウントしていいのかはわからないが、順当にいけば1人ではないだろうか。そして知らぬ地名が出てきたが、これははたしてなんなのだ。

 

「でもさー、幻想郷にバスなんてないのよねー。バスがないんじゃのれないんだから、この問題の意味がわかんない。ぜろ人じゃないの?」

 

幻想郷、きっとチルノちゃんの故郷のことだろう。それにしても、バスがないなんて相当の田舎だが・・・。

 

「もしも幻想郷にバスがあったら、きっと1人が残ると思うよ。」

 

「でも、ないもんはないじゃん!」

 

「たしかに、これは算数の問題が悪いね。幻想郷にバスがないのなら、ちょっと想像するのが難しいかもしれないね。」

 

「あたい、そろそろ飽きてきたなー。常識こえたら真理があるんだよ。」

 

難しいことを言い出した。なにかに影響されたのだろうか。

 

「まあ、チルノちゃんにはチルノちゃんなりに向いてるものがあるものさ。例えば、ほら。チルノちゃんは空を飛べるけど、数学者は空を飛べない。チルノちゃんは空を飛ぶ天才みたいなものさ。」

 

「そっかー!あたい天才かー!」

 

気分がよさそうにふよふよと飛びはじめた。

 

「あたいってばさいきょーね!」

 

木漏れ日が照らす。今日は、ふたりぶん。

 

 

 

 

 

チルノと遊園地に行った

久々の休日だ。なにをしようかと思案する前に街へ行く。すると、なにもしないだけの休日は避けることができるから、僕は決まって外へ出かける。

すると、見覚えのある後ろ姿が見えた。

 

「やあ、チルノちゃん。」

 

「あ!」

 

とたとたと駆けてくるかと思ったら、空を飛んで近づいてくる。背中の羽(?)をぱたぱたと振りながら。

 

「最近はよく会うね。今日はなにをしているんだい?」

 

「おもしろいこと探してたんだ!あたい、こう見えても忙しいのよねー。」

 

遊びをする暇があるってことはつまり暇なんじゃなかろうか・・・と思ったが、彼女くらいの年頃だと遊ぶことが仕事なのだろう。妖精に年齢があるのかはわからないが。

 

「遊びを探しているのなら、これから一緒に遊園地に行かないかい?友人からチケットをもらったんだけど、大人がひとりで遊園地に行くのはなんだか恥ずかしくてね。」

 

「え?ほんと!?いくいく!!!」

 

・・・というわけで、遊園地に来た。

 

「・・・期限切れ、ですね。」

 

「ええ?あ、本当だ。じゃあ今買います。大人1枚と子供1枚お願いします。」

 

ここでハプニング。チケットの期限が切れていた。考えてみればそりゃあそうだ。もらったのは3か月前なのだから。

チルノちゃんを誘っておいて「遊園地には入れませんでした」では申しわけがないからチケットを買ったのだけど、財布が少し寂しくなった気がする。・・・チケットは結構高かった。想定外だった。

 

「さあ、行こう。」

 

「うん!・・・あっ、あれやろ!あれ!」

 

・・・というわけで、チルノちゃんといろいろ巡った。ジェットコースターは「弾幕ごっこ」なる遊びに似ているらしく、楽しそうにしていた。僕は体力が尽きてヘトヘトになっていたけれど。

 

「はー、たのしかった!」

 

「疲れたあ。もう足が痛くって・・・。チルノちゃんはまだ元気そうだね。若さっていいなあ・・・。」

 

「ねむくなってきたー・・・」

 

「じゃあ今日はここでお別れにしよう。またね、チルノちゃん。」

 

「あ、まって!」

 

チルノちゃんに呼び止められて、なんだろうと思って振り返る。

頬に冷たい感触。彼女の指だった。

 

「へへー!ひっかかったー!」

 

逃げるように飛んでいく。

 

「じゃーねー!!!」

 

手を振って応える。相変わらず無邪気で忙しくて、優しい娘だな、と思った。