チルノと遊園地に行った
久々の休日だ。なにをしようかと思案する前に街へ行く。すると、なにもしないだけの休日は避けることができるから、僕は決まって外へ出かける。
すると、見覚えのある後ろ姿が見えた。
「やあ、チルノちゃん。」
「あ!」
とたとたと駆けてくるかと思ったら、空を飛んで近づいてくる。背中の羽(?)をぱたぱたと振りながら。
「最近はよく会うね。今日はなにをしているんだい?」
「おもしろいこと探してたんだ!あたい、こう見えても忙しいのよねー。」
遊びをする暇があるってことはつまり暇なんじゃなかろうか・・・と思ったが、彼女くらいの年頃だと遊ぶことが仕事なのだろう。妖精に年齢があるのかはわからないが。
「遊びを探しているのなら、これから一緒に遊園地に行かないかい?友人からチケットをもらったんだけど、大人がひとりで遊園地に行くのはなんだか恥ずかしくてね。」
「え?ほんと!?いくいく!!!」
・・・というわけで、遊園地に来た。
「・・・期限切れ、ですね。」
「ええ?あ、本当だ。じゃあ今買います。大人1枚と子供1枚お願いします。」
ここでハプニング。チケットの期限が切れていた。考えてみればそりゃあそうだ。もらったのは3か月前なのだから。
チルノちゃんを誘っておいて「遊園地には入れませんでした」では申しわけがないからチケットを買ったのだけど、財布が少し寂しくなった気がする。・・・チケットは結構高かった。想定外だった。
「さあ、行こう。」
「うん!・・・あっ、あれやろ!あれ!」
・・・というわけで、チルノちゃんといろいろ巡った。ジェットコースターは「弾幕ごっこ」なる遊びに似ているらしく、楽しそうにしていた。僕は体力が尽きてヘトヘトになっていたけれど。
「はー、たのしかった!」
「疲れたあ。もう足が痛くって・・・。チルノちゃんはまだ元気そうだね。若さっていいなあ・・・。」
「ねむくなってきたー・・・」
「じゃあ今日はここでお別れにしよう。またね、チルノちゃん。」
「あ、まって!」
チルノちゃんに呼び止められて、なんだろうと思って振り返る。
頬に冷たい感触。彼女の指だった。
「へへー!ひっかかったー!」
逃げるように飛んでいく。
「じゃーねー!!!」
手を振って応える。相変わらず無邪気で忙しくて、優しい娘だな、と思った。