チルノとたい焼きを食べた
「おーい、チルノちゃん。」
「!」
ビューンと笑顔で飛んでくる。相変わらず、彼女の顔を見ていると心が癒やされるようだ。
「これ、食べるかい?」
僕は手に持っていた紙袋を差し出す。中身はたい焼きだ。
「なにこれ?」
「たい焼きだよ。そこの店で買ったんだ。」
移動販売の車を指差す。たまたま見つけたから物珍しさに買ってみたのだった。
「これ、おいしいの?あたい、さかなはホネ多くて嫌いだなー。」
「これはお菓子だよ。ホネは入ってないけど、中にあまーいあんこが入ってるんだ。」
「あまいの?じゃあたべる!」
彼女は紙袋に手を入れ、がさごそと手先で吟味してたい焼きを選んだ。
「あーむっ!」
頬張る。しばし口をもぐもぐとさせる。
「おいしい!」
「だろう?」
僕もたい焼きを頬張る。うん、うまい。
「しっぽうまいなー!」
はむ、はむとおいしそうに食べる。
僕もそれを真似るようにひとくち。あんこの甘さがたまらなく、たい焼きのほんのりとした暖かさにマッチしていた。
「はー、おいしかった!ありがとう!」
「どういたしまして。」
そのまま羽をパタパタとさせて空へ飛んでいった。
少しして、空から雪が降る。
はむ、と尻尾を口に含む。
なんだか温もりのある、そんな甘さだった。